小説

リアリティの高い作品が好きで、経済小説なども読んでます。知らない言葉や慣習、世界観を学ぶ事が 出来て面白いです。
更新日 2014-07-10

高杉 良

ノンフィクション経済小説の大先生!事実は小説より奇なり!必読!

暗愚なる覇者

かつて「ザ・セイホ」と揶揄された生命保険産業に君臨する日本最大の生命保険会社を題材にした小説です。本部で繰り広げられる壮絶な派閥争いの中で 「物言えば唇寂し」となり硬直し腐敗していく一方で、現場では営業員の大量脱落・過酷なノルマ主義によりジリ貧になっていく様が如実に描かれています。
保険獲得の為には手段を選ばない風潮や裏取引も赤裸々に描かれており、この業界について知る事の多い一冊となっています。

ザ・エクセレント・カンパニー

カップ麺でお馴染みのマルちゃん東洋水産の、アメリカ進出の実話を元に書かれた企業小説です。燃ゆる時の続編です。文化の 異なる土地に進出する事の難しさ、それでいて日本においてすら維持しがたい温情見溢れる企業精神を貫く スタンス。本当に読んでいてタイトル通りの素晴らしいサクセスストーリーと痛快でした。
このケースは海外進出のバイブルともされてるそうで、たしかに一読の価値ありです。

燃ゆる時

カップ麺でお馴染みのマルちゃん東洋水産の創業者である森和夫氏の苦難と成功のノンフィクション小説です。創業に際して伴う苦難や さまざまな圧力・嫌がらせにも黙って耐え続け、粘りに粘り、それでも自暴自棄にならず決して 諦めないその精神力の強さに本当に魅せられます。商社や競合大手のあまりにも傲慢で居丈高な 姿勢に断固対決する姿は、ノンフィクションならではの緊迫感に手に汗を握ります。
慎ましく決して奢らず、忍耐と労苦に持てる尽力を惜しまない凄まじいエネルギーには、ただただ 脱帽するばかりです。

勇気凛々

金融腐食列島(上)

消費者金融—クレジット社会の罠

挑戦つきることなし

クロネコヤマトの物語です。戦前から続く老舗の運送会社が、激動の社会情勢の流れの 中で幾多の厄災にも負けず宅急便事業への成功へと繋がってゆきます。テーマは2つ。
創業者の二代目でありながら生え抜きに負けない事業者精神を持ち、大口運送から宅急便への 転換を図り、見事に企業を生まれ変わらせた小倉昌男の奇才。決して現状に満足せず、常に 新しいアイディアを取り込んでいくスタンスはこの本のタイトルにもなっています。 三越百貨店の度を越えた信じがたい押し売り・値下げ要求に対し、ヤマトの方から三行半を突きつける という当時では信じられない決断力も痛快で魅了されます。
もう一つはテーマは腐敗しきった郵政省・運輸省に対する挑戦です。目に余るサボタージュは もとより政治家・裏金に絡み、事あるごとにヤマト運輸に対して嫌がらせを仕掛けてきます。 一方では佐川急便が30年に渡って無免許で違法営業を行ってきたのに、暴力団・政治家が絡んで 運輸省は見て見ぬふりをしてきた。右手で佐川からワイロを貰いながら左手でネコいじめをやる。 この本の中で、やはり官の省益民貧のスタンスが露骨に指摘されています。
郵政民営化が国会で可決され、また露骨にヤマトとの対決の姿勢を取る官の傲慢極まる姿勢は 目に余るものがあります。政治力に頼らないヤマトが官を打破する事を期待します!

局長罷免 小説通産省

指名解雇

音響機器メーカーのパイオニアが1992 年末、突然に行ったリストラを題材にしたストーリーです。 日本にあっては絶対のタブーとされていた人員整理がトップダウンで強引に行われ、そこには企業倫理の 欠如したパワーハラスメントとそれに迎合もしくは従わざるえない社員という、2世オーナー企業の 凋落ぶりが描かれています。
リストラ行為の人道的・倫理的な問題点よりも、「副社長天動説」の元に従う以外に無い宮仕えの 無常な現実がいかに社員の気概をそぎ、また対外的評価を下げうるのか。会社は誰のものかという 現実的な社会問題を根本テーマに、とても考えさせられる内容になっています。

ザ・外資

MBA を持つエリート中のエリート主人公。そんなプロフェッショナルですら舌を巻く外資系金融の 想像を越えたエグさがテーマです。バブル崩壊のツケに追われた破綻寸前となった旧長銀への公的資金 注入を仕組んだ外資の悪辣で強引な手腕の前に、日本の金融機関が官民問わず好き勝手に蹂躙され 社会問題になりました。小説の中ではその事実をリアルにドラマ化しています。
巨額のリベート・詐欺まがい商法・渦巻く陰謀。現実は小説よりも奇なりとはこの事を言うのでしょう。 実に読み応えのある作品です。