エアコン省電力化

2011年3月11日の東日本大震災より節電と省エネが全国的に求められています。そこでウチに潤沢にある井戸水を使って、 もっとも消費電力の高いエアコンの消費電力を下げる為の改良(エアコン室外機水冷自作)を行いました。
更新日 2016-02-13

エアコンの原理と改良ポイント

エアコンの原理は室温より低い冷媒温度によって吸熱を行い、室外機では外気温よりも高い冷媒温度によって放熱を行っています。室外機のコンデンサー(ラジエータフィンのある冷媒放熱機器)は 外気温の中で放熱する為にコンプレッサーで加圧され40℃以上にまで高温になります。
ここに水を霧吹き状に吹きかける事で気化冷却を期待してもいいのですが、井戸クーラー使用の為の水量が多く、十分に冷たいので直接コンデンサーに垂れ流す事にします。

なぜ消費電力が減るか

エアコンの冷房時消費電力は室温によって決まります。室温を維持するのに必要な吸熱を行い、それを排熱しています。そして吸熱量は、室外機の排熱量によって決定します。 室外機のコンデンサーには圧縮されて加熱した冷媒が流れています。通常は空冷です。そこに冷水をかける事で効率良く冷却を行えます。また冷媒は冷却されると圧力が下がるので、 コンプレッサーの負担が減り、それだけ冷媒の循環量も増えます。
初動では室温が下がるまでフルパワー運転が行われます。排熱量=吸熱量なので、冷水をかける事で規定値以上に排熱が進み、空調の効きがよくなります。結果、フルパワー運転時間は 短くなります。
室温が下がればアイドル運転になります。必要なだけの冷房を行います。この時の消費電力は室温をモニターしながら柔軟に変わりますが、コンプレッサーの作業量が減る分消費電力は 少なくなります。
エアコンの送風のみ運転時の消費電力は0.3A 以下です。つまり消費電力の95%以上はコンプレッサーが占めます。

注意(良い子はマネしないでね)

室外機は当然ですが防水対策が施されています。大雨の日も運転するなとは書いてません(よね?)。ですからコンデンサーに水をかけるのはOK です。ただし室外機のフタは正確に被っていなければ なりませんし、内部で不要に水が溢れてもいけないのでしょう。あくまでも自己責任でやりましょう。
丸一年経ちます。井戸水特有のミネラル成分の石化沈着とホース内の黒かびの発生・目詰りがあります。また室外機の受け皿にも藻やコケが発生しています。これらはカビハイターの類で取り除けます。室外機自体は とくに問題ありません。

現場工事(DIY)

実際の作業手順です。

配管工事

エアコン室外機に井戸水をかける 水冷式エアコン Hitachi製
硬質塩ビ管(VP管) を使って井戸水を導水します。今回は井戸クーラーを通した後の水を再利用します。VP 管は2m で数百円、各種ジョイントパーツは100円以下と非常に低価格です。切断は普通のノコギリでアッサリでき、 瞬間接着の為作業効率は非常に高いです。また水量が多い為VP 管の保温措置は特別行わず地中埋没とします(冬場の凍結防止の為、露出部のみカバー)。

室外機の土台

エアコンの下から水が大量にあふれ出る為、コンクリートで土台と壁を作って排水をスムーズにします。設置済みの室外機は動かせないので、コツコツと作る事になります。冷媒配管にストレスがかからないように 慎重にコンクリートブロックを差し込み、インスタントセメントを使って粘土細工のように成型します。排水管はやや太めのもので取り回しておきます。

水散布用ホース

室外機のコンデンサー上部より水を流す為のホースを用意します。ホースにはハンダゴテに細いクギを付けて、小さな穴を開けていきます。あまり飛び散らないように穴は範囲を絞って集中して開けていきます。 穴の量が少ないと勢いよく水が飛び散るため、少し多めに開けた方がよいでしょう。穴は小さい方がいいでしょう。ホース末端はボルトを挿して、スチールバンドで締めて塞ぎます。
コンデンサーにはシリコンゴムを使って固定していきます。この時ホースの両脇を埋めるようにしておくと、水が飛び散らずに済むでしょう。

運用テスト

通常室外機から出るのは相当な熱風ですが、これが外気温より低くなります。室外機も室内に置きたいくらいです?(笑)

温度変移

室外機のコンデンサを非接触式温度計で測ったところ、外気温36℃ の時点で通常は42℃のところ、25℃まで下がっています。井戸水は20℃でかかっているので5℃の水温上昇となりました。
井戸水クーラーはよく冷えますが、それでも水温は18℃から19℃とわずかな温度上昇しかない為、そのほとんどを捨てていました。それを上手く利用する事ができました。

電流量変化

クランプメータを使って電流を比較検討してみます。
1.シャープの省エネエアコン(プラズマクラスタ 10畳用 100V 710W 定格)の場合、28℃設定で18 畳ほどを冷やしていても3〜4A で安定して動作しています。スタートアップの時は井戸水無しだと フルパワー7A になりますが、そうはならないのはコンプレッサーの動作も細かく制御されている最新機種だからでしょう。また温度が下がってからのアイドル運転時も0.5〜1A 程度の省エネに なりました。
2.シャープの省エネエアコン(プラズマクラスタ 8畳用 100V 620W 定格)の場合、30℃設定で18 畳ほどを冷やしていても2〜4A で安定して動作しています。スタートアップの時は井戸水無しだと フルパワー6A になりますが、そうはならないのはコンプレッサーの動作も細かく制御されている最新機種だからでしょう。また温度が下がってからのアイドル運転時も0.5〜1A 程度の省エネに なりました。この機種は小型故にコンデンサーが一重なのですが、冷却具合によっては室外機のファンが完全停止することも確認しました。
3.店舗用の業務エアコン(富士通 AS-E40R 20 畳用 100V 1200W 定格)の場合、省エネをあまり謳っていない製品であったせいかやや電力を消費します。設定温度に向かって冷却し始める場合、 最大の12A にかなり近づきます。温度が下がってからのアイドル運転時は6A だったのが5A 以下になりました。
真夏の電気代が4万円にも迫るため、かなりの省エネが期待できるはずです。

電気料金比較

以下の結果になっています。
 2010 年2011 年2012 年
6月1,210kWh1,167kWh919kWh
7月1,567kWh1,214kWh1,371kWh
8月- kWh1,545kWh1,497kWh
*) 2011年 6/25 より井戸水冷却開始(夜間は停止)

厳冬期にも有効?

外気温が 2℃の時に室外機のコンデンサー温度は -3℃でした。この状況では霜がつくので、室外機は定期的に霜取り動作を行います。冷房の時と同じ動作で、室外機のコンデンサー温度は 9℃にも なります(この時、室内機の動作は停止します)。井戸水は雪の日でも関係なく 15℃近くありますので、非常に温かい熱源となります。従って厳冬期にも十分有効です。
冷房時と違って気化潜熱が問題になると考えていましたが、氷点下近い気温下ではそれほど問題にならないのかも。
結果、フルパワー運転時に室内機から出てくる温風がとても暖かくなりました。またアイドル運転時の消費電力は 3A 以下にまで下がりました。

室外機に日除けは効果ある?

室外機が日向にある光景はよく見ます。室外機に付ける屋根は効果的に思えますが、外枠とコンデンサーは分離していますし、空気の流れがありますので、その効果は殆ど無いと思われます。大きく開放し、 一度コンデンサーを通った空気が戻って来ない事の方が重要ではないでしょうか。